人生には寄せては返す波がある
Posted by admin on 2021年1月18日毎日何気なく過ごしているように思っていても、生活には波があると感じます。穏やかな時もあれば荒波に乗っているように心が揺れ動くこともあるからです。また、何も変化がなくて退屈を感じている時期を過ぎると目まぐるしく予定が入り、自分の暮らしの風向きが変わることを幾度となく経験してきました。こうしたことから平凡に何事もなく暮らすことはとても理想的だと思いますが、時々起こる変化も人生には大切なのではないかと、いつしか考えるようになりました。それは人との関係の中で生まれることも多く、今まで知らなかった自分の一面を知るよいきっかけにもなります。そのため、私はなるべくこうした予兆を察知すべく感覚を研ぎ澄ませていたいと感じるのです。
そもそもずっと昔からこんなことを思っていた訳ではなく、年を重ねて経験を積んだことや文学との関わりが、こうした考えを持つことに繋がったのかもしれません。若い頃から読んでいる小説家の作品には、日常の中に起こる機微を鋭く感じ取る主人公が印象的に描かれた小説が数多くありました。彼らはみな孤独を抱え、人との接点を積極的に持たずに生きながらも、偶然のように湧いた他者との出会いから、少しずつ心が通う関係を気付いてゆきます。その出来事に最初は戸惑いながらも、いつしかそれを受け入れ、他者と心が通じ合うことの意味を知ります。これは小説の世界だけではなく、私達の身近に溢れているささやかなことだと思っております。
「何か面白いことはないかしら」と思うくらいに平々凡々な日々は、そう長くは続かないものです。そんな退屈な期間はそこにどっぷりと浸かり、次の波に乗るべく鋭気を養うためにあるのかもしれません。