“影響を受ける”の感覚論
Posted by admin on 2017年11月26日この本おもしろいなと思って、作家さんについて詳しく調べていると、私も好きな大正から昭和にかけて活躍した文豪の事を尊敬し、影響を受けたと言っている事が分かりました。“におい”が似通うとでもいいましょうか、なんとなく私が好きな雰囲気をその作家さんは醸しだしていて、それは大本である文豪が発しているものと同じ肌触りのものだと感じた要因はそこにあったのかと納得しました。初対面の人と会話をしていく中で、趣味や好きな食べ物などが同じだとグッと距離が近づいた気分になりますよね。それと同じように作家さんに親近感を湧く一方、自身のスタイルと文豪のそれをうまく掛け合わせて新しい価値を創造し、読み手の幅を広めて鑑賞の波紋を広めるテクニックを持っている事に私からささやかながら敬意を表したいです。“○○から影響を受けた”というフレーズは様々な場面でよく目にします。人間の脳は鎮痛剤よりも、鎮痛作用のあるアロマなどの香りの方が早く作用するのと同じように、憧れを抱いたり恋に落ちる時に駆け巡る感覚スピードは理論よりもずっと速い。影響を受けた際に人はきっと感覚で対象を捉え「なんて素敵な物語だろう」と繰り返し鑑賞する内に無意識にまで浸透していく。そうして表出され、系譜を引き継いだ作品は、目新しさの中に読み手と趣味が一致した際に「この感じ好きだな」を刺激する刺激が組み込まれているという事です。