旅行から帰ってきた時の感覚
Posted by admin on 2019年3月7日長めの旅行から自宅に帰ってきて、ドアを開けた時の複雑な感覚が好きです。安心感や現実に戻ってきたという倦怠感・さぁ片付けしないと!という義務感……。行ってきた旅行によってこれはよくよく変わっていくものではありますが、部屋に入った時の感覚まで含めて旅行の一環だと思います。数日間締め切った部屋って独特の空気感がありますよね、それは病院で検査を行って数日後に結果を聞いた時の「自分の身体なのに知らない事ばかりだ!」という驚きに少し似ているかもしれません。旅行の前は当たり前のようにそこにあったものなのに、帰ってきたらそれらの異質性を感じる、ドアを開けた瞬間の一瞬だけ日常を客観的立場から捉える事ができるのです。夏ならば部屋は蒸し暑く、冬ならば底冷えしていて、馴染の家具や家電は一通り揃っておりかつて自分はそこに当たり前の様に住んでいたのだけど、空っぽな空間がそこには広がっている、なんだかロマンティックですね。
旅行に持っていった本を本棚に返す時の感覚も好きです。鞄に詰めて持っていったものと言えば、洋服や化粧品その他色々ありますが、何より先に本を棚に返す事から片付けを始めます。鞄の中でこの時を待っていた本は他の本とは違う空気を纏っていて、本棚に鎮座して私達の帰りを待っていた者たちは物珍しそうに彼が隙間に収まる様を見守っているような。旅先で本を読むのは、移動中や宿泊先でのんびりしている時など所謂スキマ時間が多いです。本を開いて一息ついて見上げた風景はしっかりと記憶に残っています、これは本を読んでいなければ目に留める事すらなかったかもしれない旅先の風景の一片。逆を言えば、物語の内容にも非日常によって彩られる新しいストーリーが添えられる可能性があるのです。そんな事を考えながらぴったりと収まった本を見ていると安心します、帰ってきたんだなと実感する瞬間です。